私は、典型的な「陰湿な田舎」出身

 

私の地元は、典型的な「陰湿」を形にしたようなところだ。

 

当たり前に男尊女卑が横行し、

引っ越してきた人は「よそ者」扱い、

たまに地元に帰るときに、ハイヒールを履いて口紅を塗っているだけで嫌な顔でじろじろ見られ(強気で目を合わせてやるとサッとそらされる)、

互いが互いを陰湿に監視して、噂話が大好物。

そんな場所だ。

 

私は8歳の時点でこの陰湿さに嫌気が差し、

その雰囲気に馴染めず反抗した結果、完全に「異端児」扱いされ続け、

「絶対にここに残らない。東京に行き、東京で死ぬ。」と決めた。

 

「あの家はこんなに天気がいいこの日に、布団を干していない。ろくでもない奥さんに違いない。」

「あそこの家、数日カーテン閉めっぱなしだけど旅行にでも行ってるんだろうか。着てる服からしてそんなに裕福そうに見えないのに。」

「スーパーで〇〇さんと会ったけど、値下げ商品ばかり買っていた。」

 

そんな会話が、平気で行われているのだ。

なんでそんなの見てんだよ。

 

年末年始は男性陣はふんぞり返り、「お茶!」「おかわり!」「腹減った!」と

テレビを見ながら怒鳴る。

女性陣はそれに対してかいがいしく茶を入れ、ご飯をよそい、もう一品作るのだ。

こんなのおかしい、そう思って男性陣と一緒にテレビの前に座ったら、

男性陣からも女性陣からも腐ったミカンを見る目で見られたのは小学生の時。

 

平気で「お前はブスだなあ」「太ったか?」というような身体的特徴を貶すことが「笑えるコミュニケーション」として成り立っており、

一度本気で泣いた私に対して、「空気読みなよ」「悪気はないのよ」と諭されたのが中学生の時。

 

早々に「東京の私立に行きます」と宣言した私を教師数人が取り囲み、「地元の国公立を受けます」というまで5時間解放されなかったのは高校生の時。

私立専願の私はいつも「国公立に行かないなんてもったいない」と言われていた。

 

私の地元では、早稲田大学慶應義塾大学に行くよりも、地元の大学に行くほうが「すごくて」「偉くて」「親孝行」なのだ。

結局行きたくもない国公立に無理やり前期・中期・後期と出願させられた。

 

そもそも両親に至っては、「お医者さんとか先生になるわけでもないのに、女の子が大学行くの?」と真顔で言ってきたのである。

 

両親は最後まで私が都内私立に行くことに難色を示し続け、

都内私立に受かった時の第一声は「おめでとう」ではなくて「本当に行くの?」だった。

結局最後は泣きながら目の前で地方国公立の入学費用の振込用紙を破って

鋼の意志を見せつけたのである。

都内のマンションも3月末まで契約の印鑑を押してくれなかった。

 

とにかく東京の私立に行くことは悪、もったいないこと、と教師たちと両親は言い続けていた。

その誰もが地元の高校から地元の大学に行き、一歩も地元から出たことがない人で、

どこにそんな根拠があるんだ?と私はダサい制服の下でずっと疑問に思っていたのものである。

 

しかし、当時16歳~18歳だった少女たちにとっては、あの教室が世界のすべてだった。

洗脳するには十分すぎる環境だったと思う。

東京に行くのはダメなこと。

素直にその言葉に従い、多くの友人が地元に残った。

 

当然、地元に残ることが悪だと言いたいわけではない。

ただ、あの洗脳がなければ、純粋に「私は東京に行きたい!」「地元から出たい!」という発想になった子が何人いたんだろうと思う。

今頃、都内に本社を置くような大企業でバリバリのキャリアウーマンとして働いていたのかもしれない。

そう考えると、本当にやるせない気持ちになる。

 

たまに帰省すると、

派手な服装だ、とグチグチ言われながら

「東京の人間は冷たいだろう?」「東京は大変だろう?」と聞かれる。

そのたびに真逆だよ、最高の環境だ、と心の中で絶叫しながら曖昧に頷いてみせる。

 

地元に残るのが偉い。東京の人間は冷たい。

この選民意識が深く根付いている恐ろしい私の地元。

そんな感じだから、当然に新しいものを取り入れもしないし

田舎で夢の第二の人生を夢見て引っ越してきた人をよそ者として邪険に扱うので、

皆失望して離れていく。

 

そして結果として、

帰省するたびにその寂れよう・衰退のしように愕然とさせられる。

駅前と思えない空きテナントの数、シャッター街、週末なのに誰もいない駅前の飲み屋街。

本当にスラム街のようだ。

 

 

でもこれはきっと規模の小さな話。

おそらくこれから日本全体がこうなると私は思っている。

だって、日本全体が酷い選民意識に侵されていて陰湿だから。

 

Yahoo!ニュースのコメントでは

「これだから中国人は」「これだから韓国人は」というコメントがあふれているが

私たちはそんなに誇れる民族だろうか?

レイプが横行している、と有名なインドだけど、そのインドよりジェンダーギャップ指数は下だよ。

 

10万円給付が確定したとき、Twitterでトレンド入りしたのは「#外国人には10万円給付をするな」というハッシュタグ

なんという絶望だ。

 

今、日本から外国人労働者が全員消えたら、もうこの国は回らない。

前いたIT企業でも、優秀なエンジニアは皆外国籍の方々だった。

私の友人の東大や早慶卒の人は、皆外資系企業に行った。

日本が大好きで留学してきた中国の友人は、「この国は見えない圧力を感じる」と言って日本を大嫌いになって帰っていった。

 

いつまで日本人は優しくて、真面目で、マナー意識が高いなんて思いこんでいるんだろう。

 

一足先に衰退している私の地元の姿が、きっと今のまま進み続けた場合の日本の姿なんだろうな、と思う。

素直に自分たちが「後進国」で「遅れている」ことを自覚して

素直に教えを乞わない限り、日本全体が私の地元になってしまう気がしてならない。

 

話がとりとめのない方向に広がってしまったけど、

陰湿でどうしようもない田舎は実際に存在していて、

そこでは悪意のない凝り固まった思考に支配されている。

 

岩手県で初のコロナ感染者が出て、

その人の特定や叩きが酷いことになっていると聞いて、

一気にいろいろと思い出してキーボードを叩いてしまった。

 

たぶん特定したり叩いている方々、それを正義だと思い、

自分たちには裁く権利がある、と思ってやっているんだよね。

 

私の地元で感染者が出たときもそうだった。

私の父も特定に躍起になってて、わざわざ私に長文で感染者の個人情報と感染前後の行動のレポートみたいなものを送りつけては怒り狂っていた。

 

当たり前に最初の3行だけ読んで消したけど、これを嬉々としてやっている父に恐怖すら覚えた。

 

お盆はいつも帰省を強制されるけど、今年はしなくて済みそう。

 

いつかこの負の田舎思想の連鎖が終わりますように。アーメン。